東林院の宝物

弥勒菩薩坐像

弥勒菩薩坐像
国指定重要文化財

平安後期
木造 像高 96cm

ヒノキの寄せ木造りで、彫りが浅く温和な表情をしており、全体に金箔が施されています。丸顔でなで肩、体つきが丸みを帯びているのが特徴です。2002年に国の重要文化財に指定されました。詳細な制作年や作者は不明ですが、墨書名や的確な造法などから中央の高名な仏師の作と考えられています。
1998年に修理を行った際、台座に記された過去の修理記録が見つかり、1724年までは和歌山県の高野山北室院本堂にあったことが判明。どういった経緯で運ばれてきたかは不明ですが、東林院は僧侶を育てる学問寺として、江戸時代には多くの高僧を高野山へ送り出しており、高野山との関係の深さを物語る貴重な宝として、大切に守り続けています。

阿弥陀来迎図

阿弥陀来迎図
徳島県指定重要文化財

平安末期~鎌倉中期 伝 春日(藤原)基光 作
絹本著色 縦82cm 横39cm

阿弥陀来迎図とは、臨終の際に阿弥陀如来が観音菩薩や勢至菩薩などの眷属(けんぞく)を伴って極楽浄土へ導く姿を描いた図です。
当院の阿弥陀来迎図は、阿弥陀如来が坐像であること、また印相が通常と異なり、全体の構図も他の来迎図にはほとんどみられない様式であることから、大変珍しく貴重なものです。また、江戸後期の画家で鑑定家として有名な住吉内記廣尚による鑑定書が伝わっています。
以上のことから、徳島県重要文化財に指定されています。

高野草創

高野草創
1933年(昭和8年)頃 安田靫彦(ゆきひこ)作
絹本著色

この絵は、高野山開創の伝説をモチーフにしたもので、空海が狩場明神(高野明神)の化身である白狗に導かれて紀北の山中を巡り、現在の高野山へとたどり着く様子が描かれています。
安田画伯は、昭和を代表する日本画家の一人で、時代考証を重視する精緻な作風で知られ、この作品においても、衣や錫杖の形に至るまで緻密に研究され描かれています。
開創伝説では、白狗と黒狗の二匹が出てきますが、黒狗はあえて描かず、上下の間を重視した構成となっており、下部に描かれた空海からは、内に秘めた強い意志が感じられます。